著作権がらみのいいエントリ見つけた

前に、著作権とか、パブコメの話を書いたんですが、それに関連する良いエントリを見つけたので紹介します。


しかし、現在の著作権の強化等の話は、あくまで、現状の業界構造のままで、ユーザの利便性、技術の進歩、二次創作等を一切無視して話が進められているようにしか見えません。


上記のようなことを汲み取りつつ、適切な仕組み(著作権、利用料等)を作るというのであるならば、それはよいことだと思うのですが、

みたいなことを前に書いたのですが、正直問題点をうまく表現できていないです。で、それを解決するびびっとくるエントリを見つけたので紹介します。


ネットはクリエイターの敵か
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/d74c36ced9a7ab194b3685a4627281db


情報通信政策を動かすレコード会社のロビイスト
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/eab1d9ccaf79716b1d2f79a0f47ece68


CDの売り上げが減っている主な原因は、他のメディアとの競争だとO-Sは推定している。最初のP2PソフトウェアNapsterが登場した1999年から2003年までの間にアメリカのCDの売り上げは26億ドル減ったが、DVDとVHSの売り上げは50億ドル増え、携帯電話の売り上げは3倍になった。日本でも、中村伊知哉氏なども指摘するように、携帯電話の通信料金がCDをcrowd outしている可能性が強い。

くわしくみると、スーパースターのCDの売り上げはP2Pの影響で減っているが、無名のミュージシャンの売り上げはP2Pのプロモーション効果によって増えている。現在では、CDの制作費(最低100万円もあればつくれる)にくらべて宣伝費のほうがはるかに大きいので、P2Pはクリエイターに損害を与えているのではなく、特定のミュージシャンに巨額の宣伝費をかけて(音楽的には質の高くない)メガヒットを作り出す現在のレコード会社のビジネスモデルを破壊しているのだ。



岸氏がみているのは、本源的なクリエイターの利益ではなく、エイベックスというレコード会社の利益にすぎない。それが減っているのは、要するにレコード会社は衰退産業だからである。

コメント欄も結構白熱していて(150ぐらいのコメが、、、)、いいな〜と思ったコメントとして


現行のレコード会社のビジネスは

1) 優れた音楽性+アーティストの個性 (リスナーに大して、聞くことに効用を与える)
2) 広告宣伝費+ジャケットデザインなどの付加価値
3) ××氏の言う、クオリティーを担保するための諸費用
4) 販売用のネットワーク


を消費者にまとめて売っているという状況です。
1)はアーティストから借受け、2)、3)、4)はレコード会社が供出するものということになります。

さて、音楽を聴く環境は、まさに人様々で、
防音室内で残響の効果を計算しつくしたリスニングルームで聞くこともあれば、
トラックを運転しながら聞くということもあるかも知れない。
後者のばあいであれば、3)などにお金を払っても、あまり意味がありませんね。

また、そのアーティストのコアなファンであれば、新譜の告知などは必要ないわけで、2)、4)にコストを払う意義を感じないかもしれません。

結局、音楽を聴くこと対して本質的なものは、1)だけで、2)、3)、4)は、人々が選ぶオプションということになります。

今まではコストの関係で、これらの要素は分かち互いものだったわけですが、インターネットがこれらをアンバンドリングしたわけです。
何でもそうですが、「束ねて売る」というビジネスは、個々の要素のコストをごまかすことを可能にしますが、アンバンドリングによって各要素がむき出しになる以上、それらに価格づけがされてしまうわけで、それらがコストに見合うのか否かを、消費者やアーティストに判断させることが可能になります。そして現状では、日本のみならず世界中で、レコード会社が「ぼったくっている」と判断されているわけです。


で現在の日本のレコード会社の立ち位置ですが、著作権(およびその周辺の法律)を悪用(これは私の主観)して、こうしたアンバンドリングをさせない方向に進んでおります。そして現行の法律でもアンバンドリングへの道を開く部分には改定を求めているというわけです。
岸氏も、思いやりなどというわけの分からない言葉で、レコード会社とアーティストをあえて混同させて、アンバンドリングを阻む方向に議論をミスリーディングさせているわけです。
これが、産業振興に繋がるとは私にはどうしても思えませんし、事実、彼の議論があまりにも拙く袋叩きにあっているといのが現状だと思います。


もとはクリエイターのはしくれでもあった私の感想をいうと、レコード会社やテレビ局の役割が今後も残るとすれば、石の中から玉を見つける「目きき」としての役割と、プロを育てる「教育機関」としての役割だと思います。

等、色々熱くていい感じです。


企業間の取引にネットが用いられるようになった初期には、「中抜きで、問屋や商社なんていなくなんじゃね?」みたいな話もありましたが、実際そうなった訳ではありません。
音楽業界の業界の構造は変わるかもしれないけど、業界構造が変わったもレコード会社にはやれることが残っていると思います(まあ、変わってほしくない人がいるのもわかるし、パイ的には何分の1かになって失業者が、、、みたいな可能性はありますが)。あまり、業界のかたがたにも守りに入らずもうちょっと、ネットの人間等の意見なんかを聞いてほしいな〜と思います。